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浮気調査は…(2) | 秘密のあっ子ちゃん(139)

これは平成6年より大阪新聞紙上にて連載していた「秘密のあっ子ちゃん」に掲載されたエピソードより抜粋したものです。なお、登場人物は全て仮名で、ご本人の許可を得ております。

美容院を経営する四十六歳の主婦からの相談が、当社が探偵事務所を設立して初めて受けた浮気調査の依頼でした。「とにかく夫の浮気の証拠をつかんでほしい」と。しかし、仮に浮気の証拠があがったとしても、彼女がただやみくもに騒ぐだけのためなら、何の解決にもならないわけです。そこで、何のために調べるつもりなのかを確認すると、彼女は「今度また、本当に浮気をしているのなら、離婚する覚悟だ」と言うのです。一度は許せても二度目は許せない。ましてや、所帯費も入れないのでは、がまんならない。また浮気しているのかと思うと顔を見るのも腹がたって口をきく気もしない…」などと話しているうちに感情も高ぶってきて、ついには涙声になられるのです。
お兄さんの援護射撃も彼女の腹立ちに油を注ぎました。「幸い子供もいないことだし、お前一人なら美容院で十分食っていけるだろう。そんな男とは別れろ!オレもあいつにはとことん愛想が尽きた」と。マ、こういう場合、私としては「そうですか。けしからん男ですね」と同調するわけにもいかない。かといって、「大丈夫です。浮気なんてされてませんヨ」なんて気休めを言うのもあまりにも白々しい。「分かりました。それでは、きっちり調べてみましょう」とお受けするしかないわけです。あとになって気づいたのですが、「分かりました。きっちり調べてみましょう」という言葉の効能は驚くほど大きいようです。彼女もその言葉を聞いて、それまでの食欲不振と不眠状態がめっきり改善されたというのですから。

さて、私は早速、現場に下見に向かうと同時に当社の尾行班に連絡を取ったのは言うまでもありません。尾行班は非常動スタッフで、元気のいい若い衆(と言っても、どこかの組の構成員ではありません)が顔をそろえています。下見の結果に基づいてメンパーたちに尾行の日程や張り込みの時間、位置、車両台数などを具体的に指示します。調査相手の特徴や日ごろの行動パターンなどもできるだけ詳しく伝えます。この時に調査先の写真や現場人の地図などの七つ道具を渡すのは当然のこと。

私自身が尾行現場に出るのは全体の半分くらい。センター機能が必要な尾行は、私がセンターに詰めていますので現場には出られなくなります。だけど、どんなケースでも現場を見ていないと何の指示も出せません。下見に関しては必ず私自身で足を運びます。それはさておき、話は少し戻りますが、この調査先は行動パターンが全く一定してなかったのです。
彼は公務員ですので毎日決まった時間に仕事は終わりますが、アフターファイブに、組合の会議があったり同僚との付き合いも非常におよろしいらしい。いつ、どの行動パターンのときに浮気を実行するかが、まったく予測が立てられないのです。

 

浮気の現場をおさえるための張り込みを始めようにも、同僚との付き合いがよすぎたり、毎日の行動がパターン化されていないケースでは張り込みや尾行に日数がかかります。浮気調査の依頼をしてきた美容院を経営する彼女の主人がそうでした。こうした場合、少なくとも一週間から十日くらいの張り込みが必要となってくるんですが、それでは調査料金が非常に高くつくし、結果的に目当ての女性と逢い引きしなくてもいったん張り込みや尾行を始めれば、調査料金は当然必要になってきますので、依頼人の負担はかなり重くなってきます。

そこで、私は彼女のご主人が「安心して」コトを起こせるように、実家へ帰るとか、旅行に行くとかの口実で、外泊の機会をつくる提案をしたのです。それじゃ、町内の忘年会に行くことにします。それが来週の土、日曜日なんです。町内会の忘年会は毎年、一泊の温泉旅行なんですけれど、今年ばかりは主人があんな状態でしょう。私が城崎へ行っている間に、あの女に会われたらイヤなんで、ずっと断っていたんです。だけどそれに行くことにします。そんなわけで尾行の決行日は、彼女が一泊旅行に出掛ける際の週の土曜日と日曜日の二日間に決定したんです。

美容院を経営する女性から依頼された夫の浮気調査。さて、いよいよその尾行当日の土曜日、わが尾行班は一台とバイクー台、歩き一名の計四名で張り込みを開始。そもそも、尾行中に決してやってはいけないこと。それは、「目立つ」ことです。周りの雰囲気に「溶け込んでいでいる」ことが鉄則なのです。テレビドラマや映画などでは探偵といえばトレンチコートでサングラスをかけ、電信柱の陰から様子をうかがっている」なんて図をよく見かけますが、あんなことはとんでもない。住宅街でそんな格好でたたずんでいようものなら目立ってしょうがない。
実は、私も一度だけ失敗したことがあります。ある新興マンション群の中にある公園で張込んでいた時、ウチのメンバーがつかつかと私に近寄って来て言うのです。「社長、浮いてまっせ」 と。ふと周りを見ると、 その公園の中は、幼児を遊ばせている二十代の若妻ばかりだったのです。自分では、あくまでも溶け込んでいるつもりでしたが、どうも無理があったようで(ちなみに、私は39歳)、内心ちょっとムツとしながら、その時はすぐに若いメンバーと交代したのですが・・・。

<続く>

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