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天涯孤独の私に祖母が?(1) | 秘密のあっ子ちゃん(67)

これは平成6年より大阪新聞紙上にて連載していた「秘密のあっ子ちゃん」に掲載されたエピソードより抜粋したものです。なお、登場人物は全て仮名で、ご本人の許可を得ております。

 秋が始まろうとする頃やって来られた二人は、七十才前後の男性と四十代後半の女性でした。二人は父娘のように見えました。 女性は小柄で、いかにも「働き者」といった人で、少し垢抜けない印象を与えましたが、とても素直な心の持ち主のように思われました。 記事を読む

実の父を探して(2) | 秘密のあっ子ちゃん(56)

これは平成6年より大阪新聞紙上にて連載していた「秘密のあっ子ちゃん」に掲載されたエピソードより抜粋したものです。なお、登場人物は全て仮名で、ご本人の許可を得ております。

「やっぱり、知っていたん」母は養父の遺影の前でぽつりとそう言い、彼女の実父の話を始めました。
 実父は名家の長男で、母と実父が恋に落ちた時、母は実父に妻がいることを知りませんでした。そのことを母が知ったのは、彼女を身ごもってからのことでした。
 実父としても初めから母を騙そうとしていた訳ではなかったようですが、事の成りゆき上、結局母を傷つけることになってしまいました。 記事を読む

実の父を探して(1) | 秘密のあっ子ちゃん(55)

これは平成6年より大阪新聞紙上にて連載していた「秘密のあっ子ちゃん」に掲載されたエピソードより抜粋したものです。なお、登場人物は全て仮名で、ご本人の許可を得ております。

 ある夏の日、当社にやってきた依頼人は三十代半ばの女性でした。彼女は控え目な中にも心の強そうな人で、好感の持てる印象を与える人でした。
 が、彼女は少し思い詰めた表情をしていました。
 彼女は椅子に座るとすぐに、自分の戸籍謄本を私に示しました。
 「昭和○○年四月拾弐日○○市で出生…昭和○○年九月参日○○認知…」 謄本にはそう書かれていました。
 「実は、この実の父を探してほしいんです」彼女は言いました。それから彼女は出生から今日までの三十四年間の自分の生い立ちを話し始めたのです。 記事を読む

肉親の情(3) | 秘密のあっ子ちゃん(37)

これは平成6年より大阪新聞紙上にて連載していた「秘密のあっ子ちゃん」に掲載されたエピソードより抜粋したものです。なお、登場人物は全て仮名で、ご本人の許可を得ております。
調査の結果、夫であった人は昭和五十八年に亡くなっていました。
「そうですか。そんな前に死んでおられたのですか…」 記事を読む

肉親の情(2) | 秘密のあっ子ちゃん(36)

これは平成6年より大阪新聞紙上にて連載していた「秘密のあっ子ちゃん」に掲載されたエピソードより抜粋したものです。なお、登場人物は全て仮名で、ご本人の許可を得ております。
夫が出征してしまうと、夫の養母である若い姑は依頼人にますますつらく当たりました。それだけではなく、生まれたばかりの長男の世話の一切を自らがして、彼女の手から取り上げてしまったのでした。耐えに耐えていた彼女も、実家の勧めもあり、ついに息子を連れて婚家を出ました。 記事を読む

肉親の情(1)| 秘密のあっ子ちゃん(35)

これは平成6年より大阪新聞紙上にて連載していた「秘密のあっ子ちゃん」に掲載されたエピソードより抜粋したものです。なお、登場人物は全て仮名で、ご本人の許可を得ております。
こういう仕事をしていると、肉身の情の強さというものをつくづく感じざるを得ません。家出した娘を心配して食も喉を通らないという両親はもちろんのこと、三十年も蒸発したまま行方不明になっている兄を探してほしいという姉妹、生き別れた父親を探してほしいという娘さん、その想いやひっかかりは簡単に言葉で言い表わせないものがあります。
今回は今年七十才になる女性のお話しをしましょう。 記事を読む

父親を探したい | 秘密のあっ子ちゃん(5)

 これは平成6年より大阪新聞紙上にて連載していた「秘密のあっ子ちゃん」に掲載されたエピソードより抜粋したものです。なお、登場人物は全て仮名で、ご本人の許可を得ております。
 私は、この依頼人の人生も忘れることができません。 彼は、現在五十五才で、ある中小企業の社長です。 彼には二十八才になる息子がいて、結婚話が進んでいます。しかし、そろそろ結納を収めようとしたころ、先方からクレームが入ってきたのです。それは、彼が私生児として育ち、そのことを先方に包み隠さず話したことから始まったのでした。先方は父親を探せと言ってきたと言うのです。 記事を読む