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姪御さんの依頼?(1) | 秘密のあっ子ちゃん(45)

これは平成6年より大阪新聞紙上にて連載していた「秘密のあっ子ちゃん」に掲載されたエピソードより抜粋したものです。なお、登場人物は全て仮名で、ご本人の許可を得ております。

 今年の春に、大阪空港で「親子航空体験」というイベントがありました。それは空港内にあるシミュレーター室を使って、パイロット体験が出来るものです。従って、パイロットやスチュワーデスに憧がれている子供達には大変人気があります。 
 今回の主人公である依頼人は、その催しに姪と参加しました。
 依頼人は三十九才。大阪の大きな病院に勤務する薬剤師で、一度は結婚しましたが離婚して、子供はいません。
 姪は現在中学校二年生で、将来スチュワーデスになりたいと小さい頃から常々言っていました。それで、仕事のために付き添って行けない姉夫婦に代わって、彼女が姪と一緒に伊丹に行ったのです。
 午前十一時に伊丹空港内に集合し、皆で食事を取った後、いよいよシミュレーター室に入ります。
 シミュレーター室では、五十過ぎと四十ちょっと手前の二人のパイロットが子供達に計器の見方や操縦の仕方をとても親切に教えてくれました。
 当然のことながら、姪は大喜びで、彼女もまたそのパイロット達の優しさに感激していました。 
 二人のパイロットの説明は丁寧で、それでいて子供達にもよく理解できるように噛み砕いたものでした。それに二人ともとても親切で、スチュワーデスに憧れている依頼人(39才)の姪は大感激でした。
 イベントが終わりに近づいた頃、姪は若い方のパイロットにねだって、一緒に写真を撮ってもらいました。彼は四十才前後の、背の高い、浅黒く陽に焼けたスマートな人でした。その写真は今も依頼人の手元にあります。
 彼女は当初、「大変親切にしてもらったので…。それに、姪がそのパイロットの人をとても気に入りましたので」と、依頼の動機を語っていました。私は「ふぅーん。姪御さんのためにねぇ…」と思ったものです。その疑問は正しかったと、後に分るのですが、そのことはもう少しあとでお話しすることにしましょう。
 さて、私達はまず、その「親子航空体験」イベントを企画した会社に問い合わせ、二人のパイロットがどこの航空会社の人なのかを割り出しました。そして次に、その航空会社へ聞き込みに入ったのですが、内部規制が厳しく、住所や連絡先については明らかにしてもらえませんでした。ただし、勤務地だけは教えてもらえたのです。
 依頼人(39才)は、そのパイロットの勤務地が分っただけで十分だと言いました。
 報告書を送って一週間程経ってから、依頼人から再び電話がありました。

<続く>

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