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思いもよらない悲報が…(2)| 秘密のあっ子ちゃん(155)

 これは平成6年より大阪新聞紙上にて連載していた「秘密のあっ子ちゃん」に掲載されたエピソードより抜粋したものです。なお、登場人物は全て仮名で、ご本人の許可を得ております。
その依頼人は四十二歳の男性でした。
彼が探したいという人は、現在なら三十九歳になる女性で、二十四年前には泉州の紡績工場で共に働いた同僚でした。
二人は勤務の部署は違っていたものの、会社で催されたソフトボール大会をきっかけに親しくなっていきました。
そして、次第に彼女から勤務と勉学の両立の苦しさや親元からひとり離れて働いていることの寂しさなど、いろいろと相談を受けるようになったのだそうです。
四年後、彼女は夜間高校を卒業したのを機会に退職し、九州に戻っていきましした。
その後しばらくの間、彼女から何通かのはがきは届いていたそうですが、それもなくなり、そして彼自身が転職してからは、全く音信が途絶えてしまったのだといいます。
十五年前、依頼人は仕事の関係で九州に行ったときに彼女の実家を訪ねました。しかし、その辺りは立ち退きになっており、近所で聞いても「どこへ行ったか分からない」と言われたということでした。

<続>

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