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家族同伴で…(2) | 秘密のあっ子ちゃん(62)

これは平成6年より大阪新聞紙上にて連載していた「秘密のあっ子ちゃん」に掲載されたエピソードより抜粋したものです。なお、登場人物は全て仮名で、ご本人の許可を得ております。

 「彼の連絡先はもちろんですが、今、どんな仕事をしているのか、独身なのか既婚なのか、付き合っている人がいるのか、そういうことも知りたいんです」
 彼女は「結婚」ということも考えている様子でした。
 彼のことについて彼女が分かっていたことは、彼が以前勤務していた職場と実家が池田市辺りであるということだけでした。
 「それ以外に何か手がかりになるようなことはご記憶ございませんか?」
 調査材料としては若干少ないと判断したスタッフが尋ねます。
 「そうですねぇ…。他にと言われても、個人的なことはあまり話さなかったもんですから…」
 彼女が思案顔でそう答えていると、「しっかり思い出さんと、探せるもんも探してもらわれへんで」とお父さんがにこにこ笑いながら促します。「一年も近くにいたんやったら、もう少し何か聞いてるんと違う?。しっかり思い出し」お姉さんも助け船を出します。 「そうやねぇ…。それやったら、彼の店へ出入りしてはった得意先の業者さんは二、三社知ってますけど…」 その後いろいろ話しても、彼女はそれ以上の手がかりになるものは持っていませんでした。
 「何とかよろしゅう頼んます」という彼女の父親や姉の期待も受けて、結局スタッフはその少ない手がかりで彼を探し出さねばなりませんでした。
 スタッフの軒並みの電話調査によって、彼の実家が判明してきました。お母さんの話で、彼は現在、東京の会社に就職していることが分かってきました。
 彼女の依頼は彼の所在を割り出すだけではありませんでした。結婚しているのか、もし独身ならばつきあっている人がいるのか、それも含めて知りたいということでした。
 私達は彼女に代わって彼へコンタクトを取ります。
 「彼女のことはよく覚えております。私は現在、コンピューター関係の仕事に就いて、毎日元気にがんばっています」
 彼女が五年間も彼のことが心から離れず探していたと聞いて、彼は大層喜んでくれました。
 「ご結婚はされたんですか?」
 スタッフは核心部分を尋ねます。
 「いえ、まだ独身です。仕事が忙しくてつきあっている人もいません。でも、彼女が東京へ来られることがありましたら、案内ぐらいはできると思います」
 彼はそう答えました。
 報告を聞いて、彼女は飛び上がらん程喜んだのは言うまでもありません。
 「近々、東京へ行ってみます」彼女はそう言って帰っていきました。

<終>

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