これは平成6年より大阪新聞紙上にて連載していた「秘密のあっ子ちゃん」に掲載されたエピソードより抜粋したものです。なお、登場人物は全て仮名で、ご本人の許可を得ております。
ある夏の日、当社にやってきた依頼人は三十代半ばの女性でした。彼女は控え目な中にも心の強そうな人で、好感の持てる印象を与える人でした。
が、彼女は少し思い詰めた表情をしていました。
彼女は椅子に座るとすぐに、自分の戸籍謄本を私に示しました。
「昭和○○年四月拾弐日○○市で出生…昭和○○年九月参日○○認知…」 謄本にはそう書かれていました。
「実は、この実の父を探してほしいんです」彼女は言いました。それから彼女は出生から今日までの三十四年間の自分の生い立ちを話し始めたのです。 記事を読む