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実の父を探して(1) | 秘密のあっ子ちゃん(55)

これは平成6年より大阪新聞紙上にて連載していた「秘密のあっ子ちゃん」に掲載されたエピソードより抜粋したものです。なお、登場人物は全て仮名で、ご本人の許可を得ております。

 ある夏の日、当社にやってきた依頼人は三十代半ばの女性でした。彼女は控え目な中にも心の強そうな人で、好感の持てる印象を与える人でした。
 が、彼女は少し思い詰めた表情をしていました。
 彼女は椅子に座るとすぐに、自分の戸籍謄本を私に示しました。
 「昭和○○年四月拾弐日○○市で出生…昭和○○年九月参日○○認知…」 謄本にはそう書かれていました。
 「実は、この実の父を探してほしいんです」彼女は言いました。それから彼女は出生から今日までの三十四年間の自分の生い立ちを話し始めたのです。 記事を読む

本気で愛した人が実は・・・(2) | 秘密のあっ子ちゃん(54)

これは平成6年より大阪新聞紙上にて連載していた「秘密のあっ子ちゃん」に掲載されたエピソードより抜粋したものです。なお、登場人物は全て仮名で、ご本人の許可を得ております。

彼女(41才)の話によると、二人が別れた後、彼(45才)の所属する組は解散して、彼は九州の方へ行ったということでした。 「風の噂で、そんなことを聞きました。その頃に彼は結婚したようです」
彼女はそう言いました。ですから、彼女が知っている、当時住んでいた住所とか組の名前とかは調査の上では全く役に立ちません。人探しの調査で現在の彼を探す手がかりは、彼の名前と九州方面にいるだろうということだけなのです。しかも、九州に行って別の組に所属したものなのか、堅気になっているのかも定かではありませんでした。 記事を読む

本気で愛した人が実は・・・(1) | 秘密のあっ子ちゃん(53)

これは平成6年より大阪新聞紙上にて連載していた「秘密のあっ子ちゃん」に掲載されたエピソードより抜粋したものです。なお、登場人物は全て仮名で、ご本人の許可を得ております。

その日、電話をかけてこられた女性は随分歯切れの良い物言いをする女性でした。年の頃なら四十一、二。主婦というより、女社長か生粋のキャリア・ウーマンと言った感じの人でした。彼女は語り口調がハキハキしているというだけではなく、話の飲み込みが早く、発言も的確でした。
彼女の依頼というのは昔の恋人を探してほしいということだったのですが、 記事を読む

老紳士の後悔(2) | 秘密のあっ子ちゃん(52)

これは平成6年より大阪新聞紙上にて連載していた「秘密のあっ子ちゃん」に掲載されたエピソードより抜粋したものです。なお、登場人物は全て仮名で、ご本人の許可を得ております。

返事は来ませんでした。その人が先妻に違いないと考えていた彼は、翌年、もう一度手紙を書きました。 「四十五年前の償いとして、今後毎月十万円を送金させていただきます」と書いて、現金を同封したのでした。 記事を読む

新人事務員A川の勤務日誌(1)

「探偵はBAR以外にもいる」

 あっこのブログをご覧の皆さん、はじめまして。
先月から初恋の人探します社で勤務しております
新人事務員のA川と申します。
 この度、社長から「面接の時に文章得意って
いうてたよね?フラットな目線で何か書いてみて」 記事を読む